ペンギンたちは、海に飛び込む時、足踏みをしてしまい、その場でモジモジと滞留してしまいます。しばらくして最初のペンギンが飛び込むと、一斉に残りのペンギンが飛び込む。そういう行動形態がよく見られます。しかし、誰かが飛び込まないと誰も飛び込みません。
なぜペンギンがなかなか飛び込まないのかと言えば、海の中には餌になる魚などもいるけれども、同時にペンギンを食ってしまう恐ろしい天敵もいるからです。シャチ、オットセイ、アザラシ……。
できれば他のペンギンが飛び込んでから『指さし確認』でもして飛びこみたいところですが、グズグズしていたら餌を逃してしまいます。よって「First Penguin」(最初のペンギン)が一番勇気が必要です。
英語圏では、「First Penguin」というと、勇気をもって行動する人を指します。
人間の場合、この最初のペンギンのような先の見えない不確実な状況が、もっとも頭をフル回転させ、"ひらめき"に導いてくれます。
茂木健一郎 『考える力をつくるノート』 (講談社) より
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